親知らずは必ず抜歯が必要?リスクや治療の流れを詳しく解説

親知らずとは

親知らずが生えてきた時期やレントゲンで確認された際、抜歯の有無により生まれるリスクを考える人は多いのではないでしょうか。

人の歯は、一般的に15歳頃までに上下28本が生え揃います。個人差はありますが、20歳頃に永久歯の中で一番最後に親知らずが生えてきます。

人によっては生えてくるスペースがなく、顎の骨の中に埋まったままになってしまうケースや、真っ直ぐに生えてこなくて痛みが生じることのある厄介な歯です。

多くの場合は抜歯が一番の治療と考えられますが、口内の状況によっては抜歯を必要としないことがあり、抜くことで生まれるリスクもあります。

この記事では、親知らず基本概要から、抜歯が必要・不必要な場合の症状を詳しく解説していきます。

親知らずとは

親知らずとは

親知らずとは、親に知られることなく生えてくる歯であることが名前の由来だと言われています。

永久歯は通常15歳頃にはほぼ生え揃うといわれていますが、親知らずは20歳頃に他の歯より遅れて生えてくるのが特徴で、前歯から数えて8番目に生えてきます。

しかし、親知らずは誰もが生えてくるわけではなく、先天的に存在しない人には生えてきません。

また、一番最後に生えてくることで歯のスペースがない場合は、90度横を向いた状態で生えてきたり、歯ぐきに半分被った状態になることも多いです。

その場合は、歯磨きの時に毛先が届かず、虫歯の原因になることがあります。

親知らずは口内のトラブルを引き起こす可能性が高いため、痛みがある場合は早めに歯科医師へ相談することをおすすめします。

親知らずは必ず抜歯が必要?

親知らずとは

親知らずは、虫歯や歯周病などの原因になることがあるため、多くの場合では抜歯が必要になります。

正常に生えて機能している場合は、将来的に移植に利用できたり、ブリッジの支台歯として使用されることがあるため、残しておく方が良いケースもあります。

さまざまな理由により歯を失ってしまうことがありますが、その場所を補填する方法として、入れ歯やインプラントが挙げられます。

その他に自家歯牙移植という治療法があり、これは一度抜歯した歯を新しい場所で機能させる方法です。その場合に、親知らずを使用するケースがあります。

普段生活するなかで支障のない場合は、歯科医師に相談して抜歯の判断を行いましょう。

親知らずを抜歯しない2つのリスク

親知らずとは

親知らずを抜かない選択をした際のリスクは2つあります。

親知らずの病気が悪化する

親知らずの生えてくる場所が奥にあることで、歯磨きや虫歯治療の時に作業が困難になる場合があります。

虫歯を患っている場合は、症状が悪化し痛みが出ることがあり、歯冠周囲炎であれば症状を繰り返すことがあるため、抜歯を前向きに検討します。

歯冠周囲炎とは、親知らずが生えてくる時に起こる歯冠の炎症のことで、20歳前後の方に発生する頻度の高い病気です。

完全に親知らずが生えきらない場合、歯肉が歯冠を部分的に覆ったままになりやすいため、その部分が不衛生になり、歯肉に炎症を引き起こすのです。

親知らずの周囲が病気になる

親知らずはとても磨きにくい歯であるため、歯周病だけではなく、虫歯に感染するリスクも高まります。

親知らずだけが虫歯に感染すれば、抜歯を行うことで症状を抑えられますが、手前の歯に感染する恐れも生まれます。

悪影響を与えている状況をそのまま放置すると、手前の歯の状態の悪化が進行し、最悪の場合双方の抜歯が必要になるでしょう。

そうならないためにも、親知らずが虫歯に感染したケースでは、歯科医院で抜歯を求められることが多いです。

親知らずを抜歯する7つのリスク

親知らずとは

親知らずの抜歯にともない、痛みや腫れ、合併症のリスクが存在します。ここでは、抜歯が原因で引き起こす、主な痛みの症状や合併症について解説します。

痛みと腫れが出る

横や斜めに生えている親知らずを抜歯する場合は、歯ぐきの切開や骨を削る治療が必要になるため、それが原因で炎症が起こり、腫れや痛みを引き起こします。

手術内容が難しくなるほど、大きく腫れる傾向にあります。

腫れのピークは術後およそ3日程度で、そこから痛みや腫れが引いていきます。

一時的に口が開かない、飲み込みづらくなる

親知らずは歯のなかで一番喉に近い箇所にあるため、歯ぐきの切開が必要となる手術が原因により腫れることで、口を開こうとした時に痛みが生じ、開きづらくなることがあります。

また、飲み込む動作を行なった時にも痛みがを感じることがあるため、術後食事をとる際は、痛みや腫れの症状がおさまるのを待つ必要があるでしょう。

ドライソケットになる可能性

ドライソケットとは、抜歯した穴の骨が露出した状態になり、骨に細菌感染が起きている状態のことをいいます。

抜歯後ドライソケットになると、およそ3〜5日後から強い痛みが起こります。

一般的に、抜歯後はその穴に血液が溜まって血餅となり、そこに血管や細胞が新しく作られ、傷口が徐々に治癒していきます。

しかし、うまく血餅ができなかったり、数日経過してから剥がれてしまうことがあり、この時に露出した骨の表面が感染を起こし、ドライソケットになるのです。

感染が原因で起きる痛みは、10日〜2週間ほど続き、その後1〜2週間かけて痛みが引いていくため、完全に痛みが治るまで長ければ1ヶ月弱かかるということになります。

一時的に口臭がキツくなる

親知らず抜歯後は一時的に口臭がキツくなることがあります。

原因として考えられるのは、歯を抜いた場所に食べかすや汚れなどが溜まり発酵することや、傷が治っていく過程で臭いを放出していることなどが挙げられます。

傷が完全に治れば臭いもおさまるため、しばらくの間は口臭に対して配慮する必要があります。

しかし、汚れを取ろうとした時にうがいや歯磨きを頻繁に行うことで、ドライソケットになる恐れがあるため、あまりにも気になる場合は、治療を受けた歯科医院に相談しましょう。

一時的にアザができる

抜歯の後に治療を行なった付近が内出血を起こし、アザになることがあります。

これは、歯を抜く際に毛細血管が傷つくことが原因で起こり、内出血した血液が皮下組織の中に溜まってしまうことでアザになるのです。

特に、歯が骨の中に埋もれていて、歯ぐきを切開したり剥がした時に起こりやすいです。

一般的には、1~3週間程で自然に治りますが、1ヶ月以上アザが消えない場合は、歯科医院へご相談ください。

上顎洞と口内が交通する可能性

上顎の親知らずを抜歯した時に生まれるリスクとして、口内と上顎洞が交通する場合があります。

上顎洞に親知らずの根っこが刺さっている場合、そのまま抜歯を行うことで口内と上顎洞が交通するのです。

交通することで、飲んだ水が鼻から出る可能性があります。

交通が小さい場合であればそのまま放置していても治りますが、大きな場合は歯科医院で適切な処置が必要となります。

安静にしていれば治る場合でも、口内や鼻に強い圧力をかけることで、再び交通することがあるため、注意が必要です。

下歯槽神経を損傷する可能性

下歯槽管神経損傷の症状は、麻酔を使用したような麻痺が引き起こされ、下顎の親知らずを抜く時に起きてしまう可能性があります。

親知らず付近には下歯槽管神経が走行しており、その神経を抜歯の時に傷つけてしまうことで、麻痺が起こります。

この場合は、神経節ブロックや温熱療法などを行い、麻痺を治していきます。

この症状には早期治療が必要になるため、抜歯直後に違和感を感じた場合は、すぐに歯科医院で適切な治療を行います。

親知らずを抜歯する際の流れ

親知らずとは

ここでは、親知らずの抜歯が必要になった場合の、詳しい治療の流れを紹介します。通院予定の歯科医院によっては治療法が異なる場合があるため、予めご了承ください。

レントゲン撮影で患部の状態を確認

治療をはじめる前にレントゲン撮影を行い、血管や神経の位置、親知らずの根の状態を確認します。

事前に患部の状態を把握してから抜歯を行うことで、安全性を最優先に確保することが可能になります。

麻酔で痛みを最小限に抑える

一般的には、親知らずを抜歯する前に注射麻酔を行いますが、治療をうける場所によっては表面麻酔を施すケースがあります。

表面麻酔を行うことで、注射に対しての痛みを和らげる効果があるため、痛みに敏感な人は事前に歯科医師にそのことを伝えることで、身体的な負担を最小限に抑えることが可能です。

親知らずの抜歯

歯と骨の間には、歯根膜と呼ばれるクッションのような役割を持った組織が存在し、この歯根膜から親知らずを引き離します。

基本的には麻酔が効いているため痛みは起きませんが、万が一痛みを感じた場合は、歯科医師が麻酔を追加することがあります。

骨の奥に埋まっている親知らずの場合、周囲の骨を削る・歯を小さく割る・歯ぐきの切開などの処置が必要になることが考えられます。

抜歯箇所の縫合

親知らずの抜歯後は、抜いた部分の穴が早く塞がるように、かさぶたの形成を促します。

この時に、かさぶたが作られやすいように傷口を縫って小さくしたり、穴の中に止血用のスポンジを入れる場合もあります。

術後からおよそ1〜3時間程度で麻酔の効果が切れるため、痛みが心配な人は事前に痛み止めの薬を服用しましょう。

ガーゼで圧迫止血する

抜歯後に出血することが多いため、それを早く止めるためにガーゼで圧迫止血し、痛みや腫れを最小限に抑えます。

かさぶたが早く作られるように、30分〜1時間程ガーゼを強く噛んでもらい、止血を行います。

翌日の消毒

抜歯を行なった翌日に、出血や感染の有無を確認し、消毒を行います。

痛みや腫れの状態によって薬の量を増やしたり、種類を変えることで早く回復できるように調整します。

1週間程度で抜糸

親知らずを抜歯してから1週間程経過すると、抜いた部分の傷口がある程度塞がるため、糸を取る処置を行います。

その後、約3〜4週間で傷口が完全に塞がり、骨に関しては3〜6ヶ月程度で回復するでしょう。

しかし、この期間はあくまでも目安であるため、人によっては傷が治るスピードが異なる場合があります。

まとめ

この記事では、親知らずに対しての治療の流れや、抜歯をした場合・しなかった場合のリスクについて詳しく解説しました。

親知らずは、人によって生え方や痛み方が異なる永久歯です。

その時の症状によって、歯科医師に相談しながら抜歯の有無を決めるようにしましょう。

『平山歯科医院』では、祖師ヶ谷大蔵で25年間培ってきた技術をもとに、さまざまな歯のトラブルやお悩みに対応します。

親知らずに関してのご相談はもちろんですが、抜歯後に行う事後検診により、口内に不具合が確認された場合には、すぐに対応させていただきます。

経験豊富なスタッフが丁寧に聞き取りを行い、症状の改善に向けて全力でサポートいたします。

お電話

ご予約