親知らずが痛い4つの原因と対処法を紹介
親知らずが生えてきた時に痛みを経験される方は少なくありません。
親知らずは永久歯のなかでも一番最後に生えてくる歯であるため、十分なスペースがない場合や歯並びが悪い場合、成長する過程で痛みを引き起こすことがあります。
度合いは人により異なりますが、日常生活に支障をきたすことも考えられます。
また、そのまま痛みを放置することで、腫れや感染症を引き起こす危険性があるため、早めに対処することが重要です。
この記事では、親知らずの痛みの原因や対処法、そして痛みを和らげる方法について詳しく解説していきます。
親知らずによる痛みでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
親知らずが引き起こす痛みの4つの原因
親知らずは、痛みや腫れなどのトラブルが起きやすい歯です。
生えてくる過程で、周囲の歯や骨、歯ぐきを圧迫することで痛みが生じることがありますが、それ以外にも親知らずが原因で招く疾患による痛みの可能性もあります。
痛みが生じる主な原因は以下の4つです。
- 萌出時の痛み
- 虫歯や歯周病
- 智歯周囲炎
- 歯性感染症
それぞれの症状ごとの特徴を詳しく解説していきます。
萌出時の痛み
親知らずが生えてくる過程で出てこようとする力が、歯ぐきや隣接する歯を押すときに痛みが生じる場合があります。
この時に、生えるスペースが十分にあれば、しばらく断続的な痛みが続いた後に、歯ぐきが膨らみ親知らずが生えてきます。
ところが、スペースが足りない場合には押される力が強くなるため、さらに痛みが続きます。
そのため、奥歯後方が強く痛む時には歯科医院でレントゲン撮影を行い、痛みの原因が親知らずによるものなのか、正常に生えてくることが可能かなどの検査をします。
この時に、真横や斜めに生えていることが確認されれば、抜歯が必要になることがあります。
虫歯や歯周病
親知らずが真っ直ぐではなく斜めに生えてくることがありますが、その場合は生えてきた歯に対して十分に歯磨きが行えず、それが原因で虫歯や歯周病に感染するリスクが向上します。
そもそも親知らずが生えてくる場所は奥にあるため、正常に生えてきても磨きにくいものです。それが斜めに生えることにより、さらに磨きにくくなります。
特に親知らずの前に生えている第二大臼歯との接触面は磨きにくく、その箇所に虫歯ができやすくなるのです。
その結果、虫歯や歯周病などの口内のトラブルにつながります。
智歯周囲炎
智歯周囲炎とは、親知らずの周囲の歯肉が炎症を起こし、歯ぐきの痛みや腫れを引き起こす病気のことで、顎全体が痛む特徴があります。
軽度の症状では、患部に触れたときに少し痛む程度ですが、炎症が悪化すると何もしなくても痛み、飲み込む動作がつらくなるなどの症状が起こります。
親知らず周辺に汚れが溜まったままになっていると、それを養分として細菌が繁殖して炎症が起きる原因になります。
炎症が起きている状態では抜歯が行えないため、まずは炎症を落ち着かせる必要があります。
炎症を落ち着かせる主な処置方法としては、親知らず周辺を生理食塩水にて洗浄・消毒、抗生剤の投与により炎症を抑える場合もあります。
歯性感染症
歯性感染症とは、虫歯や歯周病、智歯周囲炎などの炎症が、周囲の組織に侵入することで引き起こされる病気の総称です。
特に炎症を繰り返している親知らず、歯根の先に炎症のある歯、歯周病が悪化した歯を放置しておくと、重篤な炎症を引き起こす可能性があります。
顔や顎が腫れる・口が開きにくくなる・食事を摂ることができなくなる、という危険性があるため、状態の悪い親知らずは放置せず、歯科医院で早期治療が必要になります。
そのほかに、歯性感染症には以下の2つが存在します。
顎骨骨膜炎
顎骨骨膜炎は、細菌が顎の骨に感染することで引き起こされる感染症です。顎を中心に顔全体が腫れ、鼓動に合わせてズキズキと痛む特徴があります。
化膿性リンパ節炎
化膿性リンパ節炎とは、虫歯菌がリンパに感染することで、リンパ節が腫れる感染症のことをいいます。
これに感染すると、首筋にしこりのような腫れが生じ、その箇所を押すと痛みが起こり、高熱が出る場合もあります。
感染症になると、抗生物質を使用して炎症を抑えることになりますが、重症化している場合には、点滴を用いるケースもあります。
これらの治療法で炎症を軽減することはできますが、あくまでもその場しのぎの治療であることを理解しておきましょう。
状態の悪い親知らずを放置しておけば、再び炎症が起こってしまうことがあるため、最初に症状が確認された時点で抜歯などの治療をうける必要があります。
親知らずの抜歯が必要な4つのケース
親知らずが周囲の歯に悪影響を与えている、またはそのリスクが高いまま放置していると、虫歯や歯周病にかかるリスクが向上します。
原因としては、親知らずが真横や斜めに生えてくることで、その箇所に汚れが蓄積されやすくなるからです。
また、真横に生えていて隣接している歯を押している場合は、歯並びの乱れの原因になる恐れがあります。
さらに親知らずと歯ぐきの間から細菌が入り込むことで、顎の痛み・蓄膿症・頭痛などを引き起こす恐れが考えられるのです。
ここでは、親知らずの抜歯が必要な4つのケースをご紹介します。
親知らずが真横・斜めに生えている
真横や斜めに生えているタイプの親知らずは、痛みが発生しやすいため、抜歯が必要なケースがほとんどです。
歯が真っ直ぐに生えていないことでブラッシングがしづらくなり、汚れが溜まりやすくなることで、虫歯・歯周病のリスクを高めます。
また、親知らずのなかには、歯が完全に歯ぐきの中に埋もれているタイプのものもあります。
歯が露出していないことで、虫歯や歯周病などを引き起こす危険性は少なくなりますが、歯ぐきの中で周囲の骨や歯に影響することがあり、その場合は抜歯が必要です。
親知らずが虫歯に感染している
親知らずは歯ぐきの一番奥に生えてくるため、虫歯治療の際に治療器具が届くように口を大きく開けてもらう必要があり、治療が困難になる場合があります。
また、ブラッシングや日頃のケアが困難な箇所のため、治療をしても再び虫歯に感染するリスクが高いのです。
そのため、歯科医院によっては親知らずが虫歯になった場合、あえて治療を行わず抜歯するケースがあります。
周りの歯ぐきが腫れている
親知らず周囲の歯ぐきが酷く腫れている場合には、早めの抜歯が必要です。
親知らずのケアが不十分な場合、その周りの歯ぐきが歯周病に感染し、炎症を起こすことがあります。
歯周病の治療を行うことで一時的に腫れが治っても、親知らずが存在することで、口内に不衛生な箇所ができてしまうため、同じ症状を繰り返してしまう危険性があるのです。
そのようなリスクを回避するためにも、早めに抜歯を行うことをおすすめします。
歯並びの乱れの原因になっている
親知らずが狭いスペースに生えてきてしまうことで、隣接する歯を圧迫してしまい、それが原因で歯並びが悪くなってしまう可能性があるため、その場合には抜歯が必要になります。
また、親知らずは上下左右に1本づつ、計4本生えてくる可能性がありますが、一部の歯だけが生えることもあります。
一部の歯しか生えてこないことで歯並びが悪くなると、それにともない噛み合わせも悪くなり、咀嚼がうまく行えなくなってしまいます。
そうなることで、顎の左右のバランスが悪くなるリスクが生じるのです。
親知らずの痛みの対処法
「親知らずが酷く痛むけど夜間だから歯医者がやってない」または「明日はどうしても外せない用事があって歯医者に行けない」などの理由で、歯科医院で痛みの改善ができない場合の対処法を紹介します。
しかし、あくまでも応急処置であるため、根本的な症状の改善にはなりません。時間ができた場合には、すぐに歯科医院で適切な治療を行いましょう。
冷却シートや濡れタオルで患部を冷やす
痛みが生じている場合は、炎症性の反応が起こっている可能性が高いです。その場合は、まず患部を冷やすことで、ある程度痛みが緩和される可能性があります。
また、冷却シートに関しては、濡れタオルに比べて冷やせる時間が長い特徴があるため、有効に活用してください。
患部を冷やす際の注意点として、氷や極端に冷たいものを使用した場合、血流が悪くなることで逆に痛みが増してしまうため、適度に当てるようにしましょう。
市販の薬液を使用してうがいをする
親知らず周りが痛む場合は、口内に細菌が繁殖している可能性が高いため、少しでも清潔にして細菌の数を減らす必要があります。
そのため、市販のうがい専用の薬液を使用して清潔にすることで、口内の細菌の数が減り、ある程度の痛みの軽減が期待できます。
しかし、アルコール成分の強い薬液の場合は、逆効果になる場合があるため、なるべく刺激の少ないものを使用してください。
歯磨きを行う
うがいと同様に、歯磨きで親知らず周りを清潔にすることで、細菌の数を減らし痛みの軽減を期待できます。
しかし、炎症を起こしている箇所は、触れただけで出血をともなう可能性があるため、必ず毛先の柔らかい歯ブラシで、優しく磨くようにしてください。
歯磨きにより痛みが強く出た場合はすぐに止め、患部を安静にしましょう。
糸ようじやフロスを使用する
親知らずと手前の歯の隙間に食べかすが詰まっている場合、これを取り除くことで、痛みや腫れがだんだんと治っていく可能性があります。
この時に爪楊枝を使用して汚れを取ろうとすると、歯肉を傷付けてしまい、余計に痛みが強くなるため注意してください。
汚れを取り除く際は、フロスや糸ようじを隙間にゆっくりと入れて上下運動させます。
これである程度の汚れが落とせるため、鏡を見ながら歯肉を傷付けないように行うことがポイントです。
まとめ
この記事では、親知らずが原因で痛みを引き起こす原因と、それにともなう対処法などを詳しく解説しました。
痛みが生じる主な原因として、親知らずが生えてくるときや、虫歯・歯周病などが考えられます。
また、その症状を放置することで、歯性感染症や智歯周囲炎などに感染するリスクが生まれるため、痛みを感じた場合はすぐに歯科医院で適切な治療を行ってもらいましょう。
『平山歯科医院』では、親知らずの抜歯に力を入れており、診療時間も水曜日を除く平日は20時、土曜日は17時まで診療しているため、お仕事終わりやお休みの日も通院しやすい環境です。
親知らずの治療の際には、経験豊富なスタッフが丁寧に聞き取りを行い、患者様に合った治療内容をご提案させていただきますので、是非この機会にご来院ください。