歯周病の症状とは?かかりやすい人の特徴や治療方法を詳しく解説

歯周病 症状

厚生労働省が公開している『e-ヘルスネット』では、全年齢層の約4割の人に歯周病の症状である歯肉出血がみられています。

歯周病は口内の代表的な病気であり、軽度の状態では自覚症状がないため、「もしかしたら自分も感染しているのではないか」と不安になられている方も少なくないでしょう。

この記事では、歯周病が引き起こす症状や、感染しやすい人の特徴などを詳しく解説していきます。

歯周病は放っておくと歯を失ってしまう恐れがあるため、治療と予防は非常に重要です。

最後までご覧いただき、一つでもご自身に当てはまる症状があれば、歯科医院で検診を行うことをおすすめします。

歯周病の特徴

歯周病 症状

歯周病は、別名「サイレントディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれており、症状が悪化するまで病気と自覚することが難しいといわれています。

歯周病になったあとそのまま放置しておくと、該当の歯の抜歯が必要になるばかりか、周囲の健康な歯にも悪影響を及ぼす危険性が考えられます。

また、口内だけではなく全身疾患との関係も明らかになってきているほど、歯周病は恐ろしい病気なのです。

歯周病が引き起こす症状

歯周病 症状

ここでは、歯周病の症状について、初期・中期・後期に分けて解説します。危険性を回避するために重要なことは、歯周病の危険因子の早期発見です。

これからご紹介する症状がご自身に当てはまっていないかを確認してください。

初期症状

歯周病の初期段階で見られる症状は、歯ぐきの腫れと出血です。

歯ぐきの腫れ

本来、健康な歯ぐきの色は綺麗なピンク色ですが、歯周病の初期症状では少し腫れて赤みを帯びることがあります。

これは歯ぐきが炎症を起こしている証拠です。

免疫細胞が含まれた血液が、歯周病菌を排除するために集まり、腫れて赤くみえる症状です。

歯ぐきからの出血

腫れの症状が起きている時は、免疫細胞が含まれた血液が集まり炎症を起こしているため、歯磨きの時や少しの刺激で出血することがあります。

また、炎症や出血が続くと膿が出てくることもあり、この状態を放置しておくと、歯ぐきの中の骨が溶け始める可能性が考えられます。

中期症状

歯周病の中期段階で見られる症状は、歯石の付着・歯ぐきが下がる・歯がしみる・口臭が酷くなるという4つです。

歯石の付着

歯石とは、歯垢が唾液内のミネラルと結合して硬くなったものです。

歯磨きの際に除去しきれなかった歯垢は、約2〜3日程で歯石に変化します。

ご自宅でのケアだけでは、歯石をキレイに取り除くことが難しく、歯科医院で歯科医の手により取り除く必要があります。

歯ぐきが下がり痛みが出る

歯周病菌が歯の根の周りの顎骨を溶かすことで、歯ぐきが下がるといった症状が生じます。

本来、歯冠はエナメル質で覆われていて、外部の刺激から歯を守ってくれています。

しかし、歯の根は象牙質という、刺激による痛みを感じやすい組織が剥き出しになっているのです。

健康な歯根は歯肉に覆われていますが、歯周病が原因で剥き出しになってしまうことで、少しの刺激や温度変化で痛みを感じやすくなる恐れがあります。

口臭が酷くなる

歯周病が進行した場合、歯と歯ぐきの境目にある歯周ポケットが深くなり、そこに溜まった細菌がメチルメルカプタンを産生して、これが口臭の原因になります。

メチルメルカプタンは、硫黄を含んだ揮発性のガスで、腐った玉ねぎのような臭気を放つ特徴があります。

口臭を改善するためには、根本的な原因となっている歯周病を治さない限り、副次的な症状である臭いの発生を抑制することはできません。

後期症状

歯周病の後期段階で見られる症状は、噛むと痛みが生じる・歯がぐらぐらする・歯並びが変化するという3つです。

噛むと痛みが生じる

歯の根本の骨が溶け、神経が刺激されやすい状況になることで、噛むだけで痛みが生じる場合があります。

歯周病は症状が悪化するまで病気と自覚できないことを説明しましたが、噛むと痛みが生じた場合は、かなり病状が進行している証拠です。

このような状況でも歯科医院で適切な治療をうければ、歯周病の進行を止められる可能性があるため、すぐに対処しましょう。

歯がぐらぐらする

歯周病が進行することで、次第に歯を支える骨が溶かされ、歯がぐらぐらするという症状が出てきます。

歯は顎骨と歯根膜が密着することで支えられています。

たとえ健康な歯であっても噛む力によっては多少動きますが、歯根膜が歯と顎骨との間で、クッションの役割を担ってくれているため、僅かしか動きません。

しかし、深く進行した歯周病は、骨が溶かされ歯根膜が破壊された状態なので、歯にとってのクッションがなくなり、ぐらぐらと揺れてしまうのです。

歯のぐらつきが大きい程病状が悪化しているため、注意が必要です。

歯並びが変化する

後期の歯周病の症状では、歯槽骨が溶けることによって歯ぐきが痩せ、歯と歯の間の隙間が大きくなることで、歯並びが悪くなってしまう恐れがあります。

歯槽骨は歯の根を支えている骨のことで、その間にはクッションの役割をしている、歯根膜という組織もあります。

ここまで重度の歯周病になってくると、歯が抜け落ちる一歩手前のため、早急に歯科医院での治療が必要であると考えられるでしょう。

歯周病にかかりやすい人の5つの特徴

歯周病 症状

厚生労働省による『e-ヘルスネット』の調べでは、全年齢層の約4割の人に歯周病の症状がみられていることをご説明しました。

歯周病は特別な病気などではなく、誰もが感染するリスクのある病気なのです。

ここでは、歯周病にかかりやすい人の5つの特徴を解説します。

口内が不衛生な人

歯磨きをあまりしない、効果的なブラッシングができていない場合は、歯に歯垢が溜まり、口内に細菌が繁殖し歯周病にかかる原因となります。

歯周病だけではなく、虫歯にならないためにも正しい方法での歯磨きは重要です。

自己流のブラッシングでは、多くの歯垢を残してしまっている可能性がありますので、一度歯科医院で歯磨き指導をうけることをおすすめします。

タバコを吸う人

タバコに含まれるニコチンやその他の有害物質は、免疫や傷を治す機能を下げ、歯周病にかかりやすい原因となります。

また、すでに歯周病を発症している場合は、喫煙が症状の進行を促進させ、治療をしても治りにくい状態になってしまいます。

喫煙が及ぼす歯や歯ぐきへの影響は、下記の3つです。

  • タバコの影響で血行が悪くなり、歯ぐきに十分な酸素や栄養が送り込まれない
  • 唾液の分泌量が抑えられることで、歯垢や歯石が付着しやすくなる
  • 歯ぐきの抵抗力が弱まり、白血球の働きが半減され免疫力が低下する

逆にいえば、禁煙をすることで歯を支える組織の状態の改善を促し、それと同時に歯周病のリスクや症状の緩和に期待ができます。

口呼吸が癖になっている人

口呼吸が癖になっていると口内の乾燥を招き、それにともない白血球の機能が低下することで、歯周病菌の増殖を促進します。

口の中は粘膜でできており、唾液で覆われているため、通常は細菌が付着しにくい状態となっています。

しかし、口呼吸により乾燥状態が長く続けば、唾液の自浄作用がなくなり、リンパ球や白血球が炎症箇所に到達することが難しく、歯周病を進行させてしまう原因となるのです。

歯並びが悪い人

歯並びが悪い方は、歯のでこぼこした溝に歯ブラシの先が届かず、そこに歯垢が溜まることで、虫歯や歯周病の原因となります。

溜まった歯垢はやがて唾液成分と混ざり、歯石に変化することで歯周病へとつながるのです。

また、歯並びは年齢を重ねることで悪くなる傾向にあります。

これはフレアリングという症状で、原因は上下の歯に過度な圧がかかり、歯が前方へ放射状に開いていきます。

このケースでは歯磨きは十分に行えず、歯周病のリスクにつながるため、歯科医院での治療が必要になるでしょう。

女性

口内には女性ホルモンを好む細菌が潜んでおり、その分泌量が増加すると同時に細菌も増殖することで、女性は歯周病にかかりやすいといわれています。

また、女性の方は唾液量が少ない人が多く、口の中が酸性に傾くのを防ぐ働きが男性の方よりも弱いため、口内環境が悪化しやすいのです。

さらに、「口腔衛生会誌の観察研」によると、妊娠中に歯周病にかかった場合、早産・低体重児出産になる確率が、およそ8倍高いことが報告されています。

このリスクを回避するためにも、虫歯や歯周病の治療は妊娠前に済ませておくことが重要になります。

歯周病の3つの治療法を紹介

歯周病 症状

歯周病を放置することで、動脈硬化や心筋梗塞などの全身疾患に関わってくる可能性があるため、早期治療に臨みましょう。

ここでは、歯周病にかかってしまった場合に、歯科医院で行われる主な3つの治療法を詳しく解説します。

歯磨き指導

歯科医院では、歯ブラシの選び方・持ち方・毛先の当て方・動かし方・力の入れ方など、丁寧に指導を行います。

歯周病治療の基本として、歯磨きの方法は非常に重要ですが、正しく磨けている人は意外に少ないものです。

初期段階の歯周病と判断された場合、指導された歯磨き方法の実践と、定期的な検診により症状の改善が見込まれるでしょう。

歯石の除去

歯科医院では、超音波や特殊な器具を使用して、歯周病の原因となる歯石を破壊する治療法があります。

超音波を使用することで、大量の歯石を短時間で取り除くことができますが、症状の度合いによっては、先の尖った器具を使用して歯石を取る方法もあります。

手間のかかる処置ではありますが、歯ぐきの中の小さな歯石を確認しながら、細かな治療が可能になるのです。

切開治療

症状が重度の場合では、歯ぐきを切開して普段見えない深い所や、歯の間の歯石を取り除く治療を行うケースがあります。

この治療により、歯槽骨の形を整え、歯周ポケットを減らして清掃しやすい環境にします。

また、保険適応外にはなりますが、歯周組織再生療法という治療で、症状によってはある程度歯槽骨や、歯ぐきを増やすことができます。

これは、切開により歯ぐきを開いた後、歯の表面に再生誘導物質を塗布したり、膜を置いたりすることで、歯周組織の再生を期待するのです。

まとめ

この記事では、歯周病の症状やかかりやすい人の特徴、治療法について詳しく解説しました。

歯周病の主な症状として、歯ぐきの腫れや出血、最悪の場合は抜歯が必要になるケースがあります。

歯周病は生活習慣や歯並びの悪さなどが原因となり、常に誰もが感染するリスクを持っています。

そのリスクを回避するためにも、日頃から自宅でのケアを怠ることなく、並行して歯科医院での定期検診を心がけましょう。

『平山歯科医院』では、祖師ヶ谷大蔵で25年間培ってきた技術をもとに、さまざまな歯のトラブルやお悩みに対応します。

歯周病の初期から後期の症状まで、丁寧な説明と治療を行いますので、歯の悩みを抱えている方は、お気軽にご相談ください。

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