歯周病の進行度別の治療期間と主な治療内容を解説
歯周病に感染している可能性が感じられた場合、治療期間や治療内容に対して不安を感じる方は多いのではないでしょうか。
仕事をしている方はもちろんですが、自由に使える時間が少ない方にとって、治療のために歯科医院へ何度も通うことは大変だと思います。
そもそも歯周病は完治することが難しい病気だといわれており、歯科医院で行われる処置は、炎症を抑えて健康な状態を長く維持するための治療です。
病状の進行具合により、治療の期間や内容は異なってくるため、治療期間を短く済ませたいという方は、日頃から歯科医院で定期検診を行うことが重要となります。
この記事では、症状の進行度別の治療期間や、治療内容について詳しく解説していきます。
歯周病の進行度別の治療期間と症状を解説
ここでは、歯周病の進行度別の治療期間と主な症状を解説していきます。
歯周病は基本的に痛みがなく、症状が悪化するまで自覚症状がない病気です。一つでもご自身に当てはまる症状があれば、すぐに歯科医院で治療をうける必要があります。
軽度の歯周病
軽度の症状であれば、治療期間はおよそ1ヶ月程度となります。初期の歯周病が疑われる項目は下記の4つです。
- 歯ぐきが赤く腫れる
- 歯磨きや食事の時に出血する
- 冷たい飲み物や食べ物がしみる
- 歯を指で押すと前後に動く
歯周病初期の段階では、痛みを感じる方はかなり少ないですが、歯肉が赤く腫れ上がり、歯磨きの時に血が出るといった症状が起こります。
また、そのまま放置することで骨が溶かされてしまうため、歯周ポケットが深くなってしまいます。
歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの境目の溝の部分を指します。
歯と歯ぐきはしっかりと接触しているように見えますが、実はわずかな隙間があり、2mm以下の溝なら問題ないといわれています。
歯周ポケットが深くなることで、ポケット内に歯垢が侵入しやすくなり、それを放置することで歯石に変化します。
痛みがなく危機感を感じることが難しいため、この段階では歯科医院で治療を受けられる方は多くないですが、歯石は自宅では除去できないため、必ず適切な処置が必要です。
中度の歯周病
中度の症状であれば、治療期間はおよそ3ヶ月程度となります。中期の歯周病が疑われる項目は下記の4つです。
- 歯周ポケットから膿が出る
- 口臭が強くなる
- 歯ぐきが下がり、歯が長くなったように見える
- 噛む時に痛みや違和感がある
歯周病の進行が進めば、歯周ポケットの奥までしっかりとブラッシングすることが難しく、歯垢や歯石が徐々に蓄積されていきます。
また、歯や歯肉の下にある骨にまで悪影響を及ぼし、細菌が放出する毒素により、骨が溶ける進行速度を早める恐れがあります。
この時点でもまだ痛みはあまり感じられませんが、口内の違和感や口臭をともなうようになるでしょう。
歯肉の下の歯石除去を数回に分けて行うことで、通院回数が多くなるデメリットが生まれます。
重度の歯周病
重度の症状であれば、治療期間はおよそ6ヶ月〜1年程度となります。後期の歯周病が疑われる項目は下記の4つです。
- 硬いものを噛めない程歯のぐらつきがある
- 歯ぐきがブヨブヨになり膿や血が出る
- 口から腐った玉ねぎの臭いがする
- 起床時に口内がねばつき血の味がする
歯周病が重度の状態まで進行してしまうと、歯周病菌によって歯槽骨が半分以上破壊され、歯が抜け落ちてしまいそうな程ぐらつきます。
歯槽骨とは、歯の周りにある骨のことを指し、歯を支える役目をもっています。
歯ぐきには張りがなくなり、ブヨブヨとして膿や血が出やすく、起床時に口内がねばついたり血の味がすることもあります。
また、口臭がかなり強くなることで、周りの人に不快感を与えてしまいます。
歯周病の進行状況によっては、歯ぐきを切開して、歯根に付着した歯垢や歯石を除去する手術が必要になり、抜歯の危険性が高まります。
このようなリスクを回避するためにも、歯科医院での定期健診や、生活習慣を見直す必要があります。
保険適用と自由診療での治療期間の違いについて
歯周病治療は、保険を適用して治療を行うことが可能です。
保険診療の場合では定められたルールに従い、一度の来院で治療可能な範囲内に対してのみ、治療を進めなければいけません。
初期段階であればさほど期間を要することはありませんが、歯周病が重症化している場合は、長期にわたって治療を行う必要があり、身体的・経済的にも負担が増えてしまいます。
しかし、保険適用外で治療をうける場合は、定められたルールがないため、短期間で症状を改善することができます。
内容としては、飲み薬を服用し、歯周病の原因となる細菌を減少させます。
薬で炎症を抑えたのち、歯肉や歯周ポケットを清掃することで、痛みを軽減させて治療を進めていくことが可能になります。
その他には、光のエネルギーを利用して殺菌や消毒、止血や消炎などを行うレーザー治療があり、手作業では届きにくい、歯根の深い箇所もレーザーを用いることで、清掃しやすくなります。
歯周病の主な治療内容を解説
ここでは、主な歯周病治療の流れを詳しく解説していきます。基本的な治療の流れは以下の4つです。
- カウンセリング
- 検査
- 歯石除去
- 再確認
それぞれの内容について、下記で詳しく解説していきます。
カウンセリング
歯周病治療の前に行われるのは、口内に対してのカウンセリングです。
患者さん自身で感じられている、痛みや口内の違和感などの症状を確認して、痛みが生じている場合はどの箇所がいつから痛むかなどの詳細を聞いていきます。
口内の自覚症状以外にも、喫煙の有無や生活習慣に対しての質問を行う場合もあります。
検査
カウンセリング終了後は検査を行います。
レントゲン検査
レントゲンを使用して、歯ぐきや歯槽骨の状態を確認します。
歯周病は、歯肉が炎症を起こす以外にも、病気が進行することで歯周病菌が歯槽骨を溶かしてしまうことがあります。
この骨は歯ぐきの中に存在しているため、肉眼で確認することはできません。
レントゲン検査では、埋まっている骨量で進行度合いを知ることができ、量が少なければ歯周病が悪化しているということがわかります。
また、骨の密度を確認することで、骨の質を調べることができるのも、レントゲン検査の大きな特徴です。
骨の密度が少ない場合では、レントゲン写真に黒っぽく写り、密度が大きい部分は白く写ります。
歯周病の症状が改善していくにつれて、骨の密度が増してくることがわかっています。
プロービング
プロービング検査でわかることは、歯周ポケットの深さです。
口腔内が健康であれば、通常の深さは2mm程度ですが、歯周病が進行するにつれて深さが増し、10mm以上になるケースもあります。
プローブという目盛のついた探針を、歯と歯ぐきの隙間に差し込み溝の深さを確認し、同時に出血の有無もあわせて検査をします。
以下の歯周ポケットの深さにより、進行度合いが判断できます。
- 3mm以下/正常〜軽度
- 4〜6mm/中度
- 7mm以上/重度
目視で歯ぐきが下がっていることを確認できる場合は、すぐに治療が必要となるでしょう。
歯垢の付着状況
染色液を使って、歯垢の量や付着している箇所の確認を行います。歯周病菌は歯垢の中に多く存在しているため、これが原因となり歯周病が引き起こされます。
歯垢がどの箇所にどれだけの量が付着しているかを調べることで、口腔内の環境を整えるために必要な治療法を導くことができるのです。
歯垢を放置することで歯石に変化しますが、これはどんなブラッシング方法でもご自身では除去することができません。
そうなる前に、検査で歯垢が付着しやすい箇所を把握し、正しいブラッシングや、それだけでは届かないところは、歯間ブラシを使用するなどの指導をすることが可能になります。
歯石除去
続いては、歯周病の原因の一つとなる歯石の除去を行います。治療内容は以下の3つです。
歯磨き
歯科医院で、ラバーチップやラバーカップなどの器具を使用して歯磨きを行い、歯ぐきを引き締め歯石を除去しやすくします。
ラバーチップとは、歯と歯の間の汚れを落とす時に使用される、歯ぐきに優しいゴム素材の器具で、傷つけないように歯ぐきの境目の汚れを落とす器具をラバーカップと呼びます。
このタイミングで適切な歯磨きの指導を行い、磨き方の練習を行う場合もあります。
日々のブラッシングで正しく磨けるようになれば、歯垢が付着しにくい環境を作ることができ、歯周病の悪化を食い止めることにつながります。
スケーリング
歯石は自宅でのブラッシングで除去することはできないため、スケーリングを行い、歯ぐきより上の部分にある歯肉縁上歯石を取り除きます。
スケーリングとは、スケーラーと呼ばれるフックのような特殊な形をした器具を使用し、歯面に付着した歯垢や歯石、歯面沈着物を除去することができる治療方法です。
大きな歯石は超音波を使って取り除き、歯の隙間にある場合には手作業で行われます。
ルートプレーニング
歯周ポケットの深い部分に歯石がある場合は、ルートプレーニングを行います。ルートプレーニングとは、汚染された歯根の表面を削り取り、滑らかにする治療のことです。
基本的にはスケーリングの後に続けて行われます。
歯石の除去をした後の歯の表面はざらついているため、そのままでは汚れが付着しやすい状態となっています。その状態を滑らかに研磨する作業を行うことで、歯垢が溜まりにくい環境にするのです。
再確認
一通りの治療を終えれば、歯肉の状態を確認し、歯周ポケットの深さを測ります。歯垢や歯石が取り除かれ、歯肉の状態が改善されると歯周ポケットが浅くなります。
3mm以下まで浅くなれば治療は終了です。
その後の再発を防ぐために、3ヶ月に1度のペースで定期検診をおすすめしています。
しかし、口内の状況によっては検診の頻度が異なるため、違和感を感じればその都度歯科医院にご相談ください。
まとめ
この記事では、歯周病に対する必要な治療期間の目安や、主な治療方法について詳しく解説していきました。
進行度によって治療期間は異なりますが、通院の回数が増えることで身体的、金銭的にも負担となる恐れがあります。
このリスクを回避するためにも、定期的な検診をうけることにより、早期治療・予防が可能になるでしょう。
『平山歯科医院』では、祖師ヶ谷大蔵で25年間培ってきた技術をもとに、さまざまな歯のトラブルやお悩みに対応します。
当院では、比較的症状の軽い歯周病や虫歯治療に対して、レーザーを使用した無痛治療をおこなっています。
痛みに敏感な方は、ぜひお気軽にご相談ください。患者様に寄り添い、なるべく負担の少ない治療方法をご提案させていただきます。