歯周病が引き起こす痛みの原因と3つの予防方法を紹介
お食事中に冷たいものを口にして歯に痛みを感じたとき、「これってもしかして虫歯?それとも歯周病?」と不安になった経験はありませんか?
歯周病は初期の段階では痛みが出ない病気ですが、もしも虫歯以外に痛みの原因があった場合は、歯周病が重度まで進行している可能性が高まります。
本記事では、歯周病で痛みが生じる原因や、虫歯との痛みの違いなどを詳しく解説していきます。
現在歯に痛みを感じており、歯周病かどうか心配な方は、本記事をぜひ最後までご覧ください。
歯周病が引き起こす痛みの原因と症状
歯周病は、初期症状の段階では痛みを感じることのない特徴をもつ病気です。
しかし、症状の悪化にともない歯ぐきの腫れ、出血、歯がぐらぐらして最終的には抜歯が必要になる恐れがあります。
歯周病の進行状況により痛みが生まれるようになりますが、自覚症状が出てきた頃にはすでに病気が中期〜後期に悪化しているサインです。
ここでは、それぞれの段階で歯周病が痛む原因と症状について解説します。
初期段階
初期段階で引き起こされる主な症状は、下記の3つです。
- 歯を磨いた時に出血する
- 歯ぐきに赤みが出ている
- 歯が浮いたように感じる
歯周病の初期段階では、歯ぐきの見た目は健康な状態とほぼ変わらず、軽い炎症を起こしている程度です。
痛みはありませんが、歯磨きやそれ以外の時に刺激をうけると、出血することがあります。
また、歯周ポケットが徐々に深くなるため、歯が浮いたように感じるでしょう。
しかし、痛みがないためそのまま放置してしまう人が多いのが実情です。
中期段階
中期段階で引き起こされる主な症状は下記の5つです。
- 歯ぐきが赤くなる
- 口臭が強くなる
- 歯ぐきから血や膿が出る
- 歯ぐきが腫れて痛みが出る
- 冷たい食べ物や飲み物がしみる
歯周病が中期段階まで進行すると、歯肉ポケットがさらに深くなることで歯根が露出し、象牙質が剥き出しになるため痛みが生じます。
象牙質とは、歯の本体を形成している部分です。
このため、刺激をうけると知覚過敏が起こり、しみる・痛むといった症状が引き起こされるのです。
また、歯ぐきからの出血や膿が頻繁にみられるようになり、深くなった歯周ポケットに汚れが溜まることで、口臭をともないます。
後期段階
後期段階で引き起こされる主な症状は下記の6つです。
- 歯ぐきが赤紫色に変色する
- 歯がぐらつく
- 口臭から腐った玉ねぎのような臭いが生じる
- 食べ物が食べにくくなる
- 歯ぐきがブヨブヨする
- 激しい痛みを生じる時がある
歯周病が後期段階まで進行すると、歯槽骨が溶かされて歯がぐらつくことで、噛み合わせが悪くなり、噛む行為によって強い痛みが生じます。
歯槽とは歯がはまり込む顎骨の穴で、歯槽骨はそれを構成している骨のことです。
また、歯周病が重度まで進行することで、歯ぐきが赤紫に変色し、食べ物が食べづらくなるでしょう。
隙間も目立つようになり、歯自体が長くなったようにみえることもあります。
歯周病と虫歯の痛みの違い
歯周病とは、歯の周りの病気であり、正確には歯肉が原因で痛みを引き起こします。虫歯は、歯周病と同様に、歯垢や歯石に潜む細菌によって引き起こされる歯の病気です。
ここでは、歯周病と虫歯の痛みの違いについて詳しく解説します。
歯周病の痛み
歯周病は進行するにつれて、冷たいものが歯の根の部分に触れると痛みを感じるようになります。
また、歯の周りが腫れ、重く感じるようになるでしょう。さらに症状が悪化することで、腫れた箇所に膿が溜まります。
歯ぐきが風船のように腫れるため、内部に蓄積された膿の圧力により、炎症を起こしている箇所に激しい痛みが生じる場合があります。
一般的に、虫歯は初期の段階から痛みが引き起こされますが、歯周病は症状が進行してから痛みを感じる病気です。
自覚症状が出た頃には、既に手遅れとなっていることがあるため、定期的に歯科医院での健診で、歯ぐきの状況を確認していくことが重要になります。
虫歯の痛み
初期段階の場合、チクチクと刺すような痛みがたまに感じられる程度ですが、症状が悪化することでズキズキとした痛みが頻繁に起こるようになります。
代表的な痛みとしては、冷たいものや甘いものを食べた時に、痛みやしみるといった症状が起こります。
この段階の痛みであれば、歯の神経まで虫歯が進行していないケースがほとんどです。
さらに症状が進むと、温かい食べ物や飲み物で歯が痛みようになりますが、何もしていなくてもズキズキと脈を打ったように痛みを感じる場合があります。
寝ている時でも痛みが生じるため、日常生活にも悪影響を及ぼすといえるでしょう。
また、虫歯の箇所だけではなく、周辺の歯まで痛くなることで、どの部分が原因なのかさえ分からなくなります。
酷いケースでは、耳の方まで痛みを伴うことがあり、虫歯がここまで悪化すると歯の神経を取る処置が必要です。
歯周病の3つの予防方法
歯周病に感染してしまった場合、すぐに歯科医院での治療が求められますが、それ以前に自分で予防をすることが健康を損なわないための一番の近道です。
ここでは、歯周病を予防するための3つの方法をご紹介します。
全ての項目を日頃から心がけることにより、歯周病になるリスクを大幅に減らすことができるでしょう。
歯磨きの精度を上げる
歯周病を予防するには、歯垢を減少させるプラークコントロールが必須となります。
これは、歯垢を効率良く除去しながら、歯への付着を最大限防ぐことです。
プラークコントロールには、自宅でのセルフケアと、歯科医院でプロの手で行われるケアがあり、どちらも重要です。
つまり、歯科医院で丁寧に歯垢を除去しても、自宅でしっかりとブラッシングができていなければ、歯周病は予防できません。
4つの正しいブラッシング方法をご紹介します。
バス法
歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、歯周ポケットの中に毛先を入れて、細かく・優しく磨くブラッシング方法です。
歯肉のマッサージと、歯周ポケットの中の汚れを除去できる効果があります。
ローリング法
歯ブラシの毛先を歯根に向けた状態で、毛のサイドを歯肉との境目あたりに当て、歯の上部に向けて90度回転させ、歯と歯ぐきを磨くブラッシング方法です。
回転による遠心力で歯垢を取り除くことができ、歯肉へのマッサージ効果も期待できます。
スクラビング法
歯に対して歯ブラシを垂直に当てて、小刻みに上下に動かしながら1本ずつ磨くブラッシング方法です。
ペンや鉛筆を持つように歯ブラシを持ち、優しく磨く特徴があります。
しかし、過度な力を入れて行うと、歯ぐきが下がり、歯の根本が割れるリスクがあるため、磨く時には注意が必要です。
スクラビング法は、奥歯の裏側や噛み合わせ面の歯垢の除去に効果があります。
フォーンズ法
上顎・下顎ともに歯を噛み合わせた状態で行い、歯ブラシを垂直に当てて、奥から前へ小さく円を描きながら、歯面に付着した歯垢を除去するブラッシング方法です。
噛み合わせた状態で磨くため、食べ物をすり潰す咬合面の歯は、別の方法で汚れを取り除きましょう。
歯ブラシの操作が簡単なので、うまく歯を磨くことができない子どもや、力の衰えた高齢者の方などが行いやすい磨き方です。
生活習慣を見直す
歯周病のかかりやすさは、食生活や生活習慣が大きく影響してしています。
歯や唾液の質などからも感染リスクが向上するため、生活習慣を改善することで歯周病を予防できるといえるでしょう。
歯周病にかからないようにするための生活習慣は、下記となります。
なるべく間食を控える
食事の回数が多くなるほど、歯に歯垢が溜まりやすくなるため、歯周病のリスクが高まります。
歯垢の中は一日のうちで、「酸性」になったり「中性」に戻ったりを繰り返していて、それにともない歯の表面のエナメル質からミネラルが出入りしています。
ミネラルが溶け出す酸性の状態が続くことで、歯垢の中が酸性になっている時間が長くなるため、間食をなるべく控えることで歯周病に対する予防となるのです。
糖分の摂りすぎに注意する
糖分は細菌の餌であるため、砂糖が多く含まれた飲み物や食べ物を、1日に何度も摂取する習慣がある人は、注意が必要です。
摂取した糖分によって血糖値が急激に上がり、血管が傷ついたり、免疫力・抵抗力が下がることで、歯周病になりやすいといわれています。
実際に糖尿病を患っている人は、歯周病の発症率が高いことが明らかになっています。
そのため、バランスのとれた食事をすることは、歯周病や全身疾患に対しての予防へとつながるのです。
柔らかいものばかり食べない
現代の食べ物は柔らかい加工食品で溢れていますが、噛むことの少ない生活を続けていると、唾液の分泌が正常に行われなくなり、細菌が口内で繁殖して歯周病に感染しやすくなります。
そのため、歯周病の予防には、殺菌・抗菌パワーがある唾液を増やすことが可能な、噛み応えがあり、食物繊維がたっぷりの食べ物を摂取することがおすすめです。
例としては、キノコ類・人参・小松菜・キャベツ・ブロッコリーなどが挙げられます。
歯科医院で定期検診をうける
定期検診をうけることで、日頃のブラッシングでは落としきれない、歯と歯の隙間に詰まった歯垢・歯石の除去が可能になります。
口内のクリーニングにより、一時的に細菌の量を減らすことができ、歯垢が残りがちな箇所があれば、歯科衛生士によりその汚れを効果的に除去するための指導を行います。
また、定期的に口内の状況を確認することで、歯周病だけではなく、虫歯の早期発見・治療につながることで、それらの細菌に感染するリスクを大幅に下げることができるのです。
まとめ
この記事では、歯周病が引き起こす痛みの原因と症状、それに伴う予防法を詳しく解説しました。
歯周病は、初期段階では痛みが生じない病気であるため、自覚症状が出た頃には既に病状が悪化している可能性が高いでしょう。
そのため、自宅での日頃のケアや、歯科医院での定期的な検診で早期予防・治療をうけることは、生活習慣を見直すためにも効果的です。
『平山歯科医院』では、祖師ヶ谷大蔵で25年間培ってきた技術をもとに、さまざまな歯のトラブルやお悩みに対応します。
当院では、患者様の口内の健康を保つため、3ヶ月から半年に一度の定期検診をご案内させていただいております。
その際に、磨き残しのチェックやブラッシング指導などを丁寧に説明いたします。虫歯だけではなく歯周病に対するお悩みを抱えている方は、お気軽にご相談ください。